いびきと糖尿病~これって関係ある?~
- 2024年1月5日
- むこきただより
みなさんは睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気をご存じでしょうか?
詳細は当院ホームページ「診療案内」をぜひご覧ください。
この病気は、糖尿病患者さんで合併率が高く(4~8割)、その半数以上は中等度~重症に分類され、速やかに治療が必要な状態と考えられます。一般的な成人男性のSAS合併率は2~3割、成人女性では1割程度とされているので、糖尿病患者さんのSAS合併率はかなり高いといえます。糖尿病とSASとの関連性の詳しいメカニズムは解明されていませんが、「①間欠的低酸素血症」と「②覚醒反応」の関与が指摘されています。
①については、寝ている間に酸素不足が続き全身に強いストレスを受けることで、血糖値を上げるホルモンであるインスリンが効きにくくなり(インスリン抵抗性といいます)、血糖値が高くなりやすいことが知られています。
②については、無呼吸状態から呼吸が再開する、すなわち脳が覚醒するときの交感神経の亢進が①と同様にインスリン抵抗性を高め、糖尿病の発症、悪化につながります。
また、以下の表に示すようにSASが重症であるほど糖尿病の合併率が高くなること、HbA1cも高いことが報告されています。
その他、体重の増加とともに顎の周囲、首周り、喉や舌も太くなり、気道が周囲から圧迫されて狭くなります。肥満はSASの重要な危険因子で、10%の減量で無呼吸低呼吸指数(AHI)が26%減少するとの報告もあり、肥満を伴う場合は減量が推奨されています。また、SASにより良質な睡眠が障害されることで食欲亢進ホルモンが分泌され、肥満を招きやすいことも分かっています。当院では管理栄養士による詳細な問診も実施し、患者さん一人ひとりに適した食事療法も組み合わせながら減量を進めています。
さらに、SASは糖尿病の合併症(神経障害、網膜症、腎症、心筋梗塞、脳卒中など)を悪化させることが数多く報告されています。
SASを治療することで血糖値だけでなくこうした合併症も改善する可能性が指摘されています。
当院ホームページに記載のSTOP-Bang質問紙法で陽性の方は、ぜひSASの簡易検査を受けてみましょう。開院後、多くの方にこの検査を受けていただき、CPAP療法を導入されている方もおります。お気軽にご相談ください。