糖尿病と歯の深~い関係!!
- 2024年3月8日
- むこきただより
糖尿病と歯には深い関係があることをご存じですか?
歯が悪くてしっかり噛めないと満腹中枢が刺激されず、満腹感がないために大食いになってしまって太る、そして糖尿病に…。そのようなイメージでしょうか?しかし、それだけではありません。最近は、歯周病によって血糖値そのものが高くなることがわかってきました。
歯周病になると糖尿病になりやすい!?
歯周病は歯周病菌の感染による感染症であり、歯周病を引き起こす細菌の多くはグラム陰性菌という細菌群に属しています。この群に属している菌は内毒素と呼ばれる毒素を産生します。歯周病で歯の周りの組織が弱くなって容易に出血するようになると、そこから毒素が体に入ってしまうのです。この時、体を守る免疫システムを活性化する物質が大量に産生されるのですが、この物質こそがインスリンの効きを障害する悪玉物質なのです。インスリンは血糖値を下げるホルモンで、インスリンが正常に働かなくなることで糖尿病になります。これが歯周病になると糖尿病になりやすくなるメカニズムです。最近の研究では、血糖値が高くなったときにインスリン産生細胞である膵臓β細胞がインスリンを産生するだけでなく、小腸でブドウ糖が吸収されるときに小腸の細胞が膵臓からのインスリン分泌を促す消化管ホルモンを分泌することがわかってきました。そして、あまり噛まずに飲み込むように食事するよりもよく噛んで食べる方がこの消化管ホルモンの分泌が促進される、という報告もあります。そのため、歯周病治療でしっかりと噛めるようになることが糖尿病治療に有効だと言えるでしょう。ちなみに歯周病治療での糖尿病の検査値改善は、糖尿病治療薬1剤分に匹敵するともいわれています。
糖尿病を治療すると歯周病はよくなる?
糖尿病で血糖値が高くなると白血球や免疫に関わる細胞の機能が低下し、細菌と十分に戦えない状態になることがあります。また、高い血糖値によって細い血管が傷つき血行が悪くなることで歯周病によって弱くなった歯の周りの組織がうまく修復できなくなり、さらに毒素が体に入るようになってさらに歯周病が悪化していく、という悪循環に陥ってしまいます。糖尿病を治療することでこの悪循環を断ち切り、歯周病がよくなることで糖尿病もよくなる、このような好循環に改善していきましょう。歯周病がよくならないとお悩みの方は、もしかすると「隠れ糖尿病」かもしれません。ぜひ一度糖尿病の検査を行うことをおすすめします。