糖尿病と骨粗しょう症!?
- 2024年3月14日
- むこきただより
糖尿病があると骨粗しょう症、骨折のリスクが高くなることをご存じでしょうか。糖尿病の治療目標は血糖値を良くすることだけでなく、合併症を予防して健康寿命を全うして元気に楽しく生活することです。そのためには、糖尿病合併症の一つである骨粗しょう症についてよく知り、今から予防に取り組むことが大切です。
骨粗しょう症は日本で1300万人の患者さんがあり、そのうち女性が1000万人を占めています(女性に3~4倍多い疾患です)が、糖尿病患者さんの場合はその頻度に男女差は無いので、男性の方も注意が必要です。骨粗しょう症は骨密度測定やレントゲン検査などで詳しく調べないと分からないので、適切に治療を受けているのは200万人程度と報告されており、未治療の状態で放置され骨折して初めて診断されることが多い病気です。起きやすい場所は大腿骨(股関節)、椎体(腰椎)、前腕骨(手首)などです。こうした部位の骨折を起こすと日常生活に多大な支障をきたし、平均寿命が短くなることも報告されています。身長が縮んできた、だんだん腰が曲がってきたなど、若いころと比べて姿勢の変化を少しでも自覚、あるいはご家族から指摘された場合は、骨粗しょう症の検査を受けることを推奨します。
骨粗しょう症とは、骨強度(骨の強さ)が低下して、骨折しやすい状態になることです。骨強度は、「骨量(骨密度)」と「骨質(骨の構造)」の2つの要因によって決まります。しばしば「骨」を「鉄筋コンクリート」に例えて、骨量はコンクリート、骨質は鉄筋にあたると説明されます。骨がスカスカ(骨密度低下)では確かに脆くなりますが、スカスカでない(骨密度は正常)場合でも骨折することがあります。これは骨質の低下が関与しているもので、骨強度は骨量だけでなく骨質も維持することが重要であり、骨質劣化が起こる代表的な病気が糖尿病です。
糖尿病の患者さんは骨密度の低下が無くても「骨質劣化」による骨折リスクが高い状態にあります。さらに、もし骨折して運動療法が困難になると血糖値上昇やサルコペニア(筋肉減少)、寝たきりなどのリスクもあり、糖尿病でない方よりも積極的な治療が求められます。また、骨粗しょう症には加齢、閉経、家族歴など避けられない要因のほかに、カルシウムやビタミン不足、喫煙、飲酒、塩分過剰摂取など多くの改善できる要因も関与しています。当院では積極的に骨の検査や栄養相談を推奨しておりますので、お気軽にご相談ください。