今年の2月ころから、麻疹（はしか）の世界的流行があり、日本でも患者さんが増加してテレビや新聞などでも大きく報道されました。当院でも麻疹の抗体検査やワクチンの希望者が成人女性を中心に急増しております。

妊娠中に麻疹に感染すると症状は重症化することが多く、流産・早産の頻度が上昇するとの報告があります。妊娠を考えている方は、当院で抗体検査およびワクチン接種が可能ですので、ぜひご相談ください。なお、麻疹・風疹ワクチン（MRワクチン）は生ワクチンのため妊娠中には接種ができません。 さらにワクチン接種後2か月は避妊が必要になるため、計画的な接種が必要です。

 

また、妊娠と関連する内分泌疾患として甲状腺機能異常があります。当院では特に甲状腺機能亢進症（バセドウ病、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎など）や甲状腺機能低下症（大半が橋本病）の患者さんについて、薬物治療および採血や甲状腺超音波検査を定期的に実施しております。甲状腺機能異常は成人女性に多い疾患ですが、うつ病や更年期障害などで認める症状と似ている点もあり、初期には気づきにくいこともしばしばです。

以下のような症状を認める方は、早めにご相談ください。

 

・甲状腺機能亢進症の主な症状

☑甲状腺腫　☑動悸・頻脈　☑手指振戦　☑倦怠感　☑体重減少　☑発汗　☑眼球突出　☑微熱　☑息切れ　☑月経異常　☑口渇　☑下腿浮腫　☑下痢・腹痛　☑食欲異常　

☑精神的高揚　☑イライラ　☑高血圧　☑四肢麻痺

 

・甲状腺機能低下症の主な症状

☑寒がり　☑疲れやすい　☑便秘　☑皮膚の乾燥　☑浮腫　☑筋力低下　☑動作緩慢　

☑眠気　☑集中力低下、うつ　☑物忘れ　☑脱毛　☑月経異常　☑嗄声　☑貧血　☑難聴

☑体重増加　☑発汗低下

 

甲状腺機能異常が不妊症、妊娠合併症の原因になることが知られており、不妊症で通院されている方の少なくとも10人にひとりは、甲状腺機能異常が原因と考えられています。

 

甲状腺ホルモンや甲状腺自己抗体の測定は、一般の血液検査や標準的な健診項目には含まれていないため、上記の症状を認める患者さんや妊娠を考えている方には、積極的なスクリーニング検査をご提案しております。甲状腺機能異常の適切な治療により、妊娠合併症は予防可能です。　

 

さらに当院では甲状腺の超音波検査も即日実施可能であり、外科手術や放射線治療など高度な医療を要する患者さんには、連携している専門医療機関へご紹介させていただいております。気になる症状があるかたや妊娠を考えている方は、ぜひご相談ください。